システム開発の相場と考え方【番外編】

弊社のオーダーメイド(特注)システムの開発事例を具体的にお伝えする前に、産業の歴史を紐解き、現代のIT開発に関する考え方や捉え方を理解いただくことで、自ずと一番気になる「システム開発の相場」に関する考え方を理解できるのでご紹介いたします。

THE STORY

相場がよくわからないんだけど、どうしたらいい?

ひとえに「寿司」と言っても、回転寿司から高級寿司まであるように、マイホームと言っても数億以上の物件まであるように、やろうとしているビジネスに対して、期待できる収益性から掛けられる予算を逆算するのが最も重要視すべきことになるといえます。

「業者の実力差」はもちろんありますので、適切なパートナーを探すことはとても大切となりますが、トヨタでもコンパクトカーはもちろん、レクサスという高級車まで作れるように、「開発コスト」を単純な相見積もりだけで済ませて意思決定してしまうということは、本来レクサスに乗りたかったのに、「乗れるキャッシュ力もあった」のに、トヨタの最安グレードの車を購入して不満足になってしまうのは悲惨でしかない。そして購入したコンパクトカーに対してクレームを入れられてしまっては、その商品を提供する側としてもとても悲しいとしか言いようがありません。

物事には適切な予算を掛けてあげる必要がある

では適切な予算をどのように把握すれば良いのか。

その方法を紐解いていく為に、少し歴史を遡り学ぶこと色々と見えてくることがあります。

昔は『本当の富裕層』しか車を買えなかった

若者の車離れはひとまず置いておくとして、一般的なサラリーマンであれば本気を出せば誰でも買えるようになっている車という商品は、産業革命という歴史上の発明があるからこそ実現できているといえます。

昔、車が世の中に出たばかりの頃は、一般的なサラリーマンが一生分働いても到底買えないようなものであり、本当に極一部の富裕層しか購入することができないような商品でした。

では何故、今でも車は高い商品であるとはいえ、本気を出せば多くの人が購入できる価格帯にまで至ることができたのか。その重要なキーとなるのが「産業革命」です。

産業革命とは、一言でいうと「工場での大量生産」です。同じ設計図の商品を工場の力で大量生産することで、開発費を数千人を超える顧客に分散して負担してもらえることにより、販売価格を下げたとしても十分利益を担保できるようになりました。つまり、一般的なサラリーマンでも本気を出せば購入できるようになったということです。

皆がiPhoneを買うことができる理由を学ぼう

アメリカ・シリコンバレーのエンジニアの平均年収は2000万円を超えます。そのような優秀なエンジニアが数百人、数千人単位で1年以上の開発期間をかけて作られているiPhoneの開発予算は1兆円を超えると言われています。

最近のiPhoneは10万円もして高い!と思われているそのiPhoneが「たった10万円」で買えてしまうという事実の背景には、工場での大量生産の力により「同じ設計図の製品」が10億人を超える世界のの顧客に届けることが出来ているからこそと言えます。

それとITに何の関係があるの?

ソフトバンクの社長である孫さんはよく「IT革命」と口を酸っぱくしながら繰り返し説明していました。

先に産業革命の前知識があることで、「IT革命」を理解しやすくなります。

『大量に届ける』から『大量に集める』へ

IT革命の本質とは「大量に商品を作って届ける」という産業革命の考え方から「大金をかけて作った1つのプラットフォームに大量の人が集まる」にビジネスモデルが移ったことにあると言えます。

多くの方々が使っている「メルカリ」や「PayPay」などのITサービスも、優秀なエンジニア達が数十人、数百人と集まり何年もかけて作っているということは、開発費原価は○億円単位になると計算できます。それだけ巨額の開発費を投入できる背景には、それを十分回収できる「利益(リターン)」を得られることをきちんと提供組織が理解し、実際に実現出来ているからです。

様々なITサービスが昨今手頃な値段でサブスク(※1)できる背景には、巨額の開発費を投入されて作られた1つのサービスを、大量のユーザーが「サブスク料金で分担して負担」することで、大量のユーザー数の力で十分な利益リターンを回収できるからです。

(※1 サブスク=サブスクリプションの略。サービスを受ける期間に対して料金を支払う。)

そう考えるとホームページ制作って最近なんで安いの?

最近ホームページ制作に関しては、クオリティを求めなければ十万円ちょっとくらいから作ってくれる業者もいます。なぜ特注製品なのにそんなにも低価格で実現できてしまっているのでしょうか。

その答えに「オープンソース(※2)」があります。

(※2 オープンソース=ソフトウェアを構成しているソースコードを誰でも閲覧や改良を加えられる状態(オープン)にあること)

そもそも論として新人フリーランスが気軽にHP制作できてしまう理由

オーダーメイド(特注)開発(大量生産が効かない商品)にも関わらず、ホームページ制作は価格破壊が起きていて、安ければ十数万円程度から作ってくれる業者もいます。

学生フリーランスでホームページ制作からスタートする人も多いでしょう。

一人のフリーランスがなぜホームページ制作を出来てしまうのか?

その背景にWordpressというオープンソースのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の存在があります。

ホームページはトップページ、問い合わせフォーム、ブログ、新着情報、といった同じブロック構成で出来ている

その骨組みをWordpressというオープンソースCMSが存在することにより、

「ほぼ同じホームページ構成」=「Wordpressによる量産が可能」=「価格破壊が起きている」

が成り立っている。

少しITの勉強を真面目にすれば「少しの差分開発」により異なるホームページが作れてしまいます。それにより参入障壁が下り価格破壊が起きてしまっているといます。

しかしながら、例えばメルカリやTikTokなど、一般的なホームページ(Wordpress)とは異なるITサービスを提供しようとなると、途端にほとんどの中小企業で叶わなくなる。その背景には、Wordpressの骨格が使えなくなることで、途端に開発できる人材が減り、開発負荷も大きくなることで人件費が重くのしかかり、その結果開発費が重たくなり、導入難易度が一気に跳ね上がってしまうというところにあります。ただし、正しいIT投資マインドを身につけることで、しっかりとしたリターンを着実に作りにいける領域でもあります。

改めて特注システム開発の予算を再考しなおす

Wordpressの骨格が使えないオーダーメイド(特注)システム開発が必要となる場合、基本的に大量生産や、大量ユーザーによる開発費の分担の恩義を受けられなくなります。その為エンジニアの人件費ベースである程度の開発費(基本的には数百万円単位)が掛かることを予め理解しておく必要があります。

いくらの予算までなら負担しても利益をしっかり確保できそうか、という視点でIT投資を考えることが大切になります。

IT企業の実力を知りたいという場合は、過去の実績を見せて貰うのも大切です。あとはしっかり話し合える関係を構築できるかも重要となります。

もっと詳しくIT投資に関するノウハウについて知りたい方は以下の講座もぜひ参考にしてみてください。

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